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スーの船出 その5

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  帰国間近の仲良しと  ニュージーランドに来てからすでに5か月が経ち、1、2学期も無事に終えることができました。振り返ると、この数か月は勉強やカヌー、日常生活のすべての面で大きく成長できた期間だったと思います。  まず、学校生活では1学期の成績が評価され、成績優秀者として表彰されました。その中でも数理科目では学年トップの成績を取ることができ、直前までそんなことは知らされなかったのでかなりびっくりしました。しかし、とても大きな自信になりました。2学期は表彰されたことで、かなりモチベーションが上がったことで、さらに良い成績を目標に勉強へ取り組み、その結果、ほとんどの教科で1学期より成績を伸ばすことができました。特に英語は、前の学期は散々な結果でしたが、準備などを事前にしっかりとしたことで、自分の考えを英語で表現できるようになり、要約、英語にも適応してきたのかと感じます。  カヌーでは、腹を切る覚悟で自分の艇を約26万円で購入しました。人生で一番高い買い物です。自分専用の艇を持てたことで、今まで以上に競技へ真剣に向き合おうという気持ちが強くなりました。その分、普段の生活では節約を心掛け、お金の使い方についても以前よりよく考えるようになりました。また、冬季リーグも始まり、大会ではなかなか挑戦できない左手でのシュートの練習など、新しい技術にも積極的に取り組んでいます。失敗を恐れずに挑戦できるのは、このリーグだからこそだと感じています。 プールサイドでなに見てる  生活面でも、自分自身の成長を感じることがありました。日本にいた頃は体調を崩して学校を休んでしまうこともありましたが、ニュージーランドでは勉強とカヌーを両立する忙しい生活を送りながらも、一度も体調を崩して学校を休むことなく過ごせています。体調管理の大切さを意識し、規則正しい生活を続けられていることも成長の一つだと思います。   一方で、仲の良かったドイツからの留学生がもうすぐ帰国してしまいます。一緒に過ごした時間が長かった分、とても寂しく感じます。しかし、その経験を通して、留学では出会いだけでなく別れもあることを実感しました。それでも、これからも連絡を取り合い、お互いを応援していきたいと思っています。  これからは長期休みに入るので、この時間を有効に使いたいと考えていま...

〝身の回り〟とか〝手の届く〟という経済尺度

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昨年5月にAtelier moo(アトリエ・ムー)の開業届を出して、個人事業主としてはこの4月から本格的に動き出しました。まだ駆け出しということもあり、直接受注の仕事は、まだぼちぼちという程度。 そんな状況ということもあって、友人が声をかけてくれて、最近は週単位の泊まり込みで、よく伊豆に出稼ぎに来ています。今週は森の間伐のお手伝い。今回も現場近くに、いい宿が見つかって、簡単な調理器具も揃っているので、気ままに朝ごはんと昼の弁当は自炊して過ごしています。 昨日は車の給油に行きました。宿からそう遠くない、有人のガソリンスタンドでした。近年では、特に遠出の際にはセルフばかり利用していましたが、運転席に座ったまま窓拭きをしてもらい、道路に出るときの誘導、オーダーや支払いのときのハキハキとした言葉のやり取りは気持ちよく、こんなサービスを受けたのは本当に久しぶりでした。ほんの数年前までこれがあたり前だったのに、かえって新鮮。 給油の流れで、その近くの、友人に教えてもらったスーパーに買い出しに。どこか懐かしさを感じながら陳列品を見て回っていると、耳に聴こえてきた店内放送で、愛媛で暮らしていたときによく利用していた、ショッパーズの系列のお店だったことを知りました。この日はちょっと立ち寄るくらいのつもりだったので、伊豆の大見とうふと、自分で調理できる生餃子を購入して帰りました。 この日は雨で仕事が休工になり、早朝から宿に居座ったまま、持ち込んだPCで事務仕事や滞っていたメール連絡などに取り掛かっていると、あっという間に昼下がり。昨日のスーパーで購入した豆腐がとても美味しかったので、混み合う夕方に近い時間を避けて、再びそのスーパーに向かったら、残念ながら定休日。 仕方がないので、少し足を伸ばして、先月の出稼ぎでよく利用していた、少し大きめの大手スーパーへ。すると、あの豆腐が、無い、、、! 今日は時間があるので夕食も自炊しようといろんなコーナーを回ってみるけれど、あれ? 期待していた海産物も、野菜も、地元産のものがない。(購入するのは我慢したけど)ピンと来たのはビールくらい。 こうなると意固地になってきて、通り過ぎてきた道の駅に、あの豆腐ののぼり旗があがっていた映像が思い出されて、そちらへ移動。明日までの滞在にちょうど良い量のナスも購入して帰ってきました。 宿に戻りながら、なんか、いつの...

スーの船出 その4

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   Wellingtonでの出場チームのメンバーと  前回の報告を書いてから、またこちらでの生活にも様々な変化がありました。NZに来たばかりの頃は、英語や生活に慣れることで精一杯でしたが、最近は少しずつ挑戦する余裕が出てきた気がします。  今学期は学校でのカヌー練習がないため、最近はジムに通い始めました。最初は体づくりのためという感覚だったのですが、そこで出会った友達が本当に屈強で、最初は「なんでこんなにでかいんだ…」と驚いてばかりでした。でも、みんなすごくフレンドリーで、トレーニングを教えてくれたり、話しかけてくれたりして、今では放課後の楽しみの一つになっています。今月の目標はマッスルアップの習得です。  そしてカヌーでは、大きな出来事がありました。 前回のNationals をきっかけに、Christchurchのチームの方から声をかけていただき、2大会連続で参加させてもらえることになりました。さらに、Wellingtonで行われた大会では、ニュージーランドに来て初めての遠征も経験しました。 初の温水プールが気持ちよすぎる 遠征では、本当にたくさんのサポートをしてもらいました。移動や準備、試合のことまで、多くの人が自然に支えてくれる環境があって、日本との文化やスポーツ環境の違いも強く感じました。「個人で頑張る」というより、「みんなでチームを作っている」という感覚がとても強かったです。 大会結果としては、ありがたいことに2大会連続で得点王を取ることができました。もちろん周りの支えがあってこその結果ですが、自分自身でもニュージーランドに来てからの成長をかなり感じています。特に、ギリギリの展開の中でも以前より落ち着いて判断できるようになったことや、試合中に余裕を持てる場面が増えたことは大きな変化だと思います。そして何より、勝ちたいという気持ちが以前よりずっと強くなりました。  学校生活でもうれしいことがありました。学校でNationalsの表彰をしてもらい、多くの人に声をかけてもらいました。勉強面でも、英語とBusiness以外の教科ではExcellent評価をもらうことができ、自分でも少し驚いています。英語はまだ苦戦することも多いですが、それでも最初の頃と比べると、確実に前に進めている実感があります。  もちろん、まだ足りない部分はたくさんありま...

拠点整備

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4月に入って、 Atelier moo の本格始動、に入る前に、まとまった時間が取れなくてずっと放ったらかしにしていた拠点整備をおこなうことにしました。 まずは隣家ヤッホー。ここは、活動を応援してくれるボランティアさんたちが、寝泊まりできるようにお借りしている民家。 一般社団法人ほらじゅう 発足以来、4年近く活用させてもらっていて、僕たちは「隣家ヤッホー」と呼んでいます。 お借りすることになった当初はいろいろ傷んでいて、家主さんにも協力してもらいながら、片付けと補修をコツコツ進めました。一部は事務スペースとして、日常的に利用しています。 今回取り掛かったのは、壁も床も想像以上のダメージで、どうしたらよいかすら思い至らず、途方に暮れたまま、手を付けられていなかったひと間。素人大工の突貫工事なので粗も目につきますが、バラックな感じは、ネパールで迷い込んだスラムの、なんとも言えない大切な思い出や、 かんまん部屋 のコミュニケーション豊かな暮らしを、作りながら何度も思い起こさせてくれました。 ここを3日がかり、3年越しで、ようやく足を踏み入れられるようにすることができました。ツリークライミング、特に樹木管理の仕事に使う道具類は、この部屋で整理整頓していこうと思ってます。 2つ目は、我が家の倉庫の屋上に屋根をかける工事。プライベートな利用だけでなく、石積みの道具や樹液回収用のタンク、一部のツリークライミング関連の道具の保管など、ここでの活動を支える大事な倉庫ですが、年々雨漏りがひどくなっていました。屋上の床面をコーティングし直すことも検討しましたが、屋根をかけてもうひとスペース、何かしらの作業ができる場所を作ることにしたわけです。 こちらは2日がかり。初日は終日好天でしたが、2日目は予報の出ている雨の到来にびくびくしながらも、屋根に上がってポリカ波板を打ち付けていきます。きっと山の神様が待っててくれるだろうと祈りつつ、ポリカ波板20枚を張り終えて、屋根から下りて簡単に道具類を整理して、14時過ぎにようやく昼ごはん。すると間もなく雨が降り始めました。想定通り雨は地面に流れ落ち、翌朝確認すると、雨漏りもしていませんでした。オッケー、オッケー、よかった! 今後は出かける日が多くなると思いますが、雨予報のある日でも、洗濯物を吊り下げておけるので安心です。また、明るいスペースなので、雨...

ツリークライミングやっててよかった

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朝一番で用事を済ませるために出かけた帰り、山で見つけておいたオーバラ(ハリギリ)をチェックしに行きました。我が家で人気の、この山菜の芽がちょうどよく伸びていました。すぐに(わ)に連絡して、収穫の準備です。 この木より大きな、隣のカエデの木にアンカーを取ってツリークライミングして収穫。トゲの多い樹木なので、干渉して傷まないように、ロープは地上で(わ)に操ってもらいつつ、樹上で収穫。(さ)は摘み落とした芽の回収係。ときどきダイレクトキャッチする姿は見事で、樹の上から眺めるのはとても面白かった! 木を伐ることなく、家族の連携プレーでたっぷり籠2杯分。短くも楽しい時間を過ごしました。 オーバラ収穫からさかのぼること1週間。枝先で枯れて、いつ落ちてきてもおかしくない状況だった奈良田公民館前の桜も、朝一番の、まだ人通りのない時間のうちに、クライミングして処理。素登りで最初の枝分かれした大きな股に足をかけ、そこからはランヤードで姿勢を確保しながら、伐り落とすところまでアプローチしました。 何年か前だったら、どうしたものか躊躇していたかもしれないけど、これも準備から片付けまで1時間くらい。その後の出かける用事にも、十分余裕を持って終えることができました。 これでひと安心。 うーん、ツリークライミングやっててよかったなぁ。 (ゆ)

スーの船出 その3

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   前回、日本で応援してくださっている方々への報告を書いてから、はや一か月。少しずつこちらでの生活にも慣れてきました。最初の頃は、毎日をこなすことで精一杯でしたが、最近は少しずつ周りを見る余裕も出てきた気がします。 というのも、この一か月もなかなか順調とはいかず、何度も自転車をパンクさせたり、慣れないニュージーランドの道に迷ったりと、ちょっとしたトラブルの連続でした。日本にいたときには考えなくてもよかったことに毎回引っかかって、そのたびに「ここは日本じゃないんだな」と実感させられていました。でも最近は、そういう状況にも少しずつ対応できるようになってきて、道の途中でふと目に入ったおいしそうなベトナム料理屋さんに気づけるくらいには、気持ちにも余裕が出てきました。  学校でも変化がありました。最初は英語が思うように出てこなくて、会話に入ること自体にハードルを感じていましたが、今は少しずつ話せる人が増えてきて、気づけば一緒に過ごす友達もできました。たとえ短い会話でも、それが自然に続いたときは「ちゃんと伝わってる」と実感できて、それだけで少し自信になります。最近では、友達に「英語うまくなったねぇ~」と言ってもらえることもあって、それが小さなモチベーションになっています。  そしてカヌーの方でも、大きな大会がありました。ニュージーランドで一番大きな大会の一つで、結果は3位。決して悪い結果ではないのかもしれませんが、三日目の初戦で負けてしまった悔しさは今でも残っています。あの一戦を勝てていれば、もっと違う結果が見えていたかもしれないと思うと、簡単には切り替えきれませんでした。 それでも、その後の試合ではなんとか気持ちを立て直して、自分のプレーに集中することができました。今回は先輩と一緒に出る大会でもあり、普段とは違う緊張感の中でプレーする経験ができたのも大きかったと思います。技術だけでなく、試合中の空気や流れの感じ方など、学ぶことの多い大会でした。  これからは少しのオフを挟んで、ウィンターリーグが始まります。ここからまた新しい環境とレベルの中で、自分がどこまでできるのか試されていくと思います。 まだ課題はたくさんあります。英語も、生活も、カヌーも、どれも完璧とは言えません。でも、この一か月を振り返ると、確実に最初の頃よりは前に進んでいる実感があります。 小さなことでも...

まーちゃん、卒業。

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奈良田一同で(ま)を囲んで  うちの「まーちゃん」こと(ま)がつい先日、小学校を卒業しました。全校6人唯一の卒業生、奈良田の人たちも駆けつけ、三重県で寮生活をしている姉の(う)もこのために帰省。集合写真のときにはニュージーランドで修行中の(す)ともオンラインで繋げ、みんなで明るく元気に祝った卒業式でした。 朝、(ま)のネクタイを結び直してあげる(う)  驚いたのは、冒頭の校長先生挨拶の時から、すでに校長先生が泣き始めたこと。おかげで会場の多くの人の涙腺が始めから緩みっぱなしでした。4年、5年生の頃に、先生との向き合い方でなかなか大変な時期もあった(ま)だったので、辛抱強く向き合って考えることの意味や楽しさを教えてくれた最終学年の先生方には大変感謝しています。その感謝の気持ちを「お礼の言葉」のスピーチに先生を名指しで目一杯盛り込んだので、その先生も立ち上がって大号泣でした。その姿が県内の夕方のニュース番組で3つのチャンネルで流れ、それを見た知人友人からも次々とお祝いと「泣けました!」の連絡が来たほどです。 5年前の(ま)入学式の写真  写真を見てもわかる通り、まーちゃんはいつまでもまーちゃんです。相変わらずの笑顔。良いところもそのままです。それでも式で見せた凛とした立ち振る舞い堂々とした歌声、心のこもったお礼の言葉などを目の当たりにして、もうしっかり自分の世界を作り始めているのね、としみじみしました。「うちのまーちゃん」なんて言ってられるのもあと少しかもしれません。 担任の先生と熱唱  心も体も急速に成長中。まだまだパワーを秘めている。これがいつどのように炸裂するか伸びやかに発揮できるか、その方向探しがこれから始まるのでしょう。多くの人に暖かく見守られながら、今のまま、のびのび、すくすく、ごろごろ、ニヤニヤ、進め、まーちゃん! 夜は「おすくに」で和やかに謝恩会 (わ)

バイバイ、制服。2026年度を振り返る

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目に見えるのではないかと思えるほど、大胆に季節がめぐるこの春、私のきょうだい達はそれぞれの節目を迎えています。弟はカヌー修行のためニュージーランドへ旅立ち、妹の(ま)は中学生に。それにともなって、1番下の妹は初めて身内のいない小学校生活がはじまります。  2年前から私は実家を離れ、学校寮生活を送っています。帰省するたびに、きょうだいは私の知るおもかげも残しながらも、心も体もなんだかパワーアップしていてびっくりします。彼らはたしかに、大きくなっている最中なんだなと感じます。そして、あっという間のこの時間が、彼らを形づくるかけがえのない要素になっていくはずです。  私にも同じだけのかけがえのない時間が流れている。将来の土台として振り返ることのできる「今」を過ごせていたらいいな、と思います。そうであるように、この1年を振り返ってみることにしました。  今年度の1番のチャレンジは、夏休みと春休みのひとり暮らしです。普段は寮生活を送っていますが、長期休暇中は寮が閉まるため、1年生の時は帰省していました。  高専でも、小3から続けている陸上競技に打ち込みたいと思っていました。そのため、帰省中は部活動に参加できない分を自主練習で補っていました。でも、夏には三重県内で大会が行われ、そのたびに山梨県から向かうのは体力的にも金銭的にも負担が大きかったです。また、春にはシーズンインの準備があります。帰省していた一年前は、自宅周辺の山や坂を走って練習していましたが、いざ試合が始まると、全く調子が上がらず、低迷していました。きっと、自分の身体の調子や、目標とする記録に向けてどんな段階を踏めば良いのかなどの認識が不十分で、きちんとした指導を受けられなかったことが影響していたと思います。苦しい夏だったけれど、これも今後につながる経験だったと思います。  長期休暇中も三重県内に滞在し、保健体育科教授である顧問のF先生に手ほどきを受けながら、部活動や大会に参加したいという思いが強くなりました。それができれば、今後卒業研究のときには、1年を通して研究室への出入りも可能となり、進路の選択肢も広がると思いました。そこで、ゴールデンウィークの2週間を試験的に、その後の夏休みの2ヶ月、そして今、春休みの2ヶ月を、学校近くのアパートで過ごしています。  ...

スーの船出 その2

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ニュージーランドに来てまだ数週間。でも、体感では何か月も過ごしたような濃さがあります。 正直に言えば、出発前は強がっていました。親や仲間の前では「なんとかなる」と笑っていたけれど、本当は怖かった。言葉は通じるのか。カヌーは通用するのか。生活は回るのか。自分はここで必要とされるのか。空港で家族の顔を見たとき、覚悟は決まりました。でも同時に、逃げ道もなくなったとも感じました。 到着してすぐ、その現実を思い知らされました。英語の授業では、頭の中では分かっているのに言葉が出てこない。ホームステイでは、相手の冗談に笑うタイミングすらずれる。スーパーでは値段の感覚も違う。日本で「普通にできていたこと」が、ここでは一つずつ考えないとできない。勉強も同じでした。内容は理解できるのに、英語で答えると精度が落ちる。とてももどかしく、自分の実力が削られているような感覚でした。 そしてカヌー。練習はすでに始まっていて、週末には大会。その試合は、今後の環境にも関わるかもしれないと聞きました。ただの試合ではなく、「選ばれるかどうか」を意識する場。異国で結果を出せるのか。通用しなければ、立場が変わるかもしれない。そう考えると、正直、何度も自信を失いかけました。 大会の前日、なかなか眠れずにイヤホンをつけました。何を聴くか迷って、結局いつも日本で聴いていた米須玄師さんの春雷を流しました。特別な理由があったわけではありません。でも、イントロが始まった瞬間、胸の奥が少し熱くなりました。怖いのは、本気だからだと思いました。ここで結果を出したいと思っているから、失敗が怖いだけなんだと気づきました。音が強くなるにつれて、うまくやろうとしすぎていた自分が少しだけほどけていく感覚がありました。完璧な英語も、完璧なレースもいらない。今出せる力を出すだけでいい。そのシンプルなことを、やっと受け入れられた気がしました。 当日、スタートラインに並んだときも緊張は消えていませんでした。でも前日とは違って、逃げたいとは思いませんでした。速く漕ぐことよりも、自分の漕ぎを出すことに集中しようと決めていました。結果がどうなるかは分かりません。それでも、ここに立っている自分を否定しなくなっていました。 ホームステイ先で自分から会話を振れた日。英語で先生に質問できた日。練習で「Good paddle」と声をかけられた日。どれも小さな...

そろばんと昼寝

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奈良田の春祭り用に必要なスズタケを一緒にとりに行って、自分用にも長いものを一本確保。それをぐるんぐるん全身で振り回し、「空を混ぜて」いるそうです。 そんなことをして、ひとしきりダム湖の辺りで遊び回って家に戻った日曜日のお昼過ぎ。おやつを食べながらテレビをつけた(さ)。何を観るかといえば、アニメのサザエさんでした。 (さ)はサザエさん一家が大好きです。この日、カツオくんがそろばんをしているお話を見て、自分もやってみたくなったようです。 家にあったそろばんを引っ張り出してきたので、私もできないなりに知っていることを教えました。算数では2桁の足し算や引き算をやっている真っ最中。そろばんの仕組みもわかるようなわからないようなで、ワーワー言いながらひとしきりいじっていました。だいぶ頭を使って疲れたのか、やはりワーワー言いながら、そのまま縁側に座布団をひいてひなたぼっこを始めました。 ひとしきり家事を終えて、ふと見てみると、(さ)は、お腹にそろばんを乗せたままグーグーお昼寝。少し視線を庭にずらすと、コトも手足を投げ出して、コの字でお昼寝。なんだこの2匹は!と思いつつ、春の陽気なのだなぁと思った昼下がりでした。 (わ)

Atelier moo のメープルシロップについて

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メープルシロップ製作の季節を迎えています。 我が家では 楓だけでなく胡桃からも 同じようにシロップを作っていて、合わせて50余本の木から樹液を採集させてもらっています。奈良田では立春前後、木ごとにピークは異なりますが、それぞれの木から、おおむね3週間くらいの期間しか採集できない貴重な樹液です。 毎年、いつ、どの木からどのくらいの量の樹液が採集できたか、毎日の天気や気温などとともに記録をつけていて、特に今季に入ってからは、楓と胡桃の性格(植物生理)の違いをはっきり認識できるようになって、「あそこのあの木がよく動いている」と、木ごとのその日々々の予測も立つようになり、何時までに回収したい、回収してきた後のためにどのくらいの薪を用意しておかねば、と段取りも良くなってきました。 樹液を採集させてもらっている木はどれも、地域の自然環境の中で自然に生えたもので、植えて栽培したものではありません。楓も胡桃も、単独の樹種でまとまって生えていることはなく、混交林(2種類以上の高木が混ざり合った雑木林)の中にあります。その中にあるイタヤカエデ、ウリハダカエデ、オニグルミを見つけて樹液をいただきます。 樹液をいただくには、木を傷つけて採り口を作ります。毎年、新たな採り口を作ります。採り口が多ければ、その分採集できる樹液も増えるはずですが、私たちは、樹液をいただく採り口は、木の1本につき1つだけと決めています。 なので50余本の木から樹液を回収するには、相当の広い範囲の山を歩いて、1本々々見て回ります。 回収してきた楓と胡桃の樹液は別々に、なるべく早く煮立たせます。うちではまず、ホンマ製作所の時計型ステンレスストーブで薪を利用して沸騰させます。極端に多い日では回収した樹液が200L近く及ぶこともあり、2月中は外出する用事はほとんど入れることができず、少なくとも僕か(わ)が付きっ切りです。薪の確保はほかの季節でもできますが、かなりの労力を要します。 なるべく長く薪で煮詰めていきたいところですが、順番待ちの貯まった樹液がたくさんあり(いまも、前日に回収してきた100L余のカエデ樹液を火にかけながら文章を書いています)、また連日のように新たな樹液を回収してくるのでストーブだけでは間に合わず、沸騰した樹液は徐々に屋内に移し、火力が強く安定している3重のガスコンロで煮詰めていきます。 メープルシロッ...

コトのハンティングデビュー その2

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今季の樹液採集が始まってから、 連日の山での回収、そして煮詰め作業に追われる日々 でしたが、ようやく木がいったんひと休み。前日までに回収してきた、容器に入ったままの樹液だけになったので、煮詰め作業を(わ)に任せて、コトを山に入れて思いっきり走らせてやることにしました。 (さ)の両腕に収まる程度だった コトも、 みるみる体が大きく なって、 動くものに飛びつこうとする ようになり、10月頃には、散歩中に見かけた鹿も追いかけ始めました。先輩猟師の(ま)さんによれば「早い奴なら7か月からやる」という話で、それならば今季の猟期に間に合うぞ、と楽しみにしていました。 これまで何度かチャンスもありましたが、僕の待ち伏せする場所が悪かったり、コトの追い込みが甘かったり、慌ててしまったこともあり、なかなか思うようにはいきません。こちらも猟犬飼うのは初めて。コトもまだ山を知らないのだから仕方ない。紐をつけての散歩では叶わない思い切った運動ができるだけでも良しとしてきましたが、とうとうこの日、コトが追った鹿を仕留めることができました。 これまでの反省から、待ち伏せする場所もドンピシャ。山に入れたとたんに臭いを取ってすぐ鹿を追い出し、ものすごいスピードで山を跳び下ってきます。半矢でしたがそのまま追いかけ、追い詰めた場所で僕の到着まで逃がしませんでした。 たまたま近くにいた(ま)さんが銃声を聞いて連絡をくれて、すぐに見に来てくれました。「良い振り方してる。これはモノになるよ、大丈夫だ!」と一緒に喜んでもらいました。コトにも短時間にぎゅーっと詰まった良い経験を積ませることができました。最近は鹿肉を使用した犬のおやつの製作にも試験的に取り組んでおり、お肉もコトと山分け、大切にいただきます。 (ゆ)

西予市三瓶町皆江での石垣修復

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1/19~21にかけて、西予市三瓶町皆江での石垣修復に参加してきました。 2017年まで家族で暮らし 、 石積み技術を習得した 西予市に呼ばれたのは、とても感慨深いものがあります。 引き受けた亀井さんの見立てではトータル13平米の立面積でしたが、石を外していってみると、問題が根深くて、当初見積もりよりも数割広く積み直しました。たくさんの石が必要ですが、今回は現場近くに資材(積み石、グリ石)を仮置きできる場所がなかったので、足りない石の供給が常に課題となります。施工中のところどころで作業チームと資材の調達・運搬チームに分かれ、資材残量と作業量のバランスを取りながら進めることにしました。基本的には大きな石から積み上げていくので、こうした段取りを取り入れて適当な石が不足しないようにするために、向かって右側から積み直し、左側に作業展開していくことにしたのですが、このプランが良かったですね。仕事が滞る場面はほとんどなく、施工予定期間に終えることができました。 僕はずっと作業チームで現場から離れることはありませんでしたが、施工を引き受けた亀井さんの呼びかけで集まった若者を中心に、作業に参加した皆さんの献身的な仕事ぶりには感心しました。石積み経験者も無経験者も、それぞれが自分にできることを考えて動き、そして賑やかな様子(口数が多いことは、安全管理につながるので良いことと考えています)の中で、気持ちよく積んでいった3日間でした。最終日は時折り強い風とみぞれに見舞われ、みんなつらかったと思いますが(僕は比較的慣れっこで大丈夫でした)、おかげで目前の宇和海から次々と飛び出す虹を楽しむことができました。 僕としても、仲の良かった友人たちが現場に駆けつけてくれて、中には西予市から引っ越して以来の再会となった友人もいて、大事にしている石積みが縁を紡いでくれたことが幸せでした。 参加できてよかったです。誘ってくれてありがとう。そして皆さん、お疲れさまでした! (ゆ)